Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Cu-Snナノツリーは特定の電位条件による電解めっきによって基板の垂直方向に木の幹に相当するナノワイヤが成長し、そこから直角に枝分かれが次々に発生しながら自己組織的に結晶成長していく3次元ナノ構造である。このナノツリー構造は薄膜に比べ比表面積が100-1000倍程度大きいため小型の高性能なガス・化学センサの作製が期待できる。Cu-Snナノツリーは320℃の大気中熱酸化を行うことでCu-Snナノツリー酸化物となり酸化物半導体ガスセンサとして機能する。本年度の研究では、これまでガス導入時の電気伝導特性評価による抵抗の変化を水素や酸素に対して500ppmまでの反応を見ていたがさらに低濃度の水素応答を調べた。その結果、ナノツリーの素子温度200℃において100ppmまで充分な応答が見ることができ、さらにPtナノ粒子を表面に吸着することにより1ppmの水素を検出できることが判った。これ以外に酸素、一酸化炭素は100ppm、硫化水素は10ppmまで充分な応答が見られることが判った。NOxやそれ以外のガスに対して詳細に調べきれていないが著しい反応はしないという感触を得ている。ナノツリーは酸化物半導体ガスセンサの動作として例えば水素に対して素子によってはP型あるいはN型の動作を示すことが確認されている。ナノツリーはCu6Sn5の膜上からCu3Sn1として成長するため素子構造によって電極/Cu6Sn5/Cu3Sn1/Cu6Sn5/電極、電極/Cu3Sn1/Cu6Sn5/電極などの違いがあることがP型・N型の動作の要因として挙げられ調査している。また現在、比表面積測定装置を作製しナノツリー構造の比表面積を測定して性能評価を行っている。これをCu-Sn薄膜、Cu-Snナノワイヤ素子と合わせて比較しながら評価していく。