領土海洋問題における裁判による紛争処理の機能と限界
Project/Area Number |
17KK0054
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
International law
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
許 淑娟 立教大学, 法学部, 教授 (90533703)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥12,870,000 (Direct Cost: ¥9,900,000、Indirect Cost: ¥2,970,000)
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Keywords | 領域法 / 海洋法 / 紛争処理 / 国際裁判 / 国際法 / 国際法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究期間終了し帰国後、フォローアップのための再延長を申請した本年度は、前年度に引き続き、個別の事件判決を詳細に検討し、研究会合を通じて、判決の解釈、意義、その帰結について議論を加えた。 本年度は小規模な研究会に内外で参加した。まず、渡航制限が一部緩和されたことから、ソウル大学およびソウル国際法研究の会合に参加し、海洋法の実務家および研究者と意見交換を行うことができた。そのなかで、昨年度より考察対象としている海洋法条約体制における第三の実施協定であるBBNJ条約という問題関心を背景に、海底電線およびパイプラインの敷設の自由の意義について報告した。本年度後半は、論考にまとめ、来年度には公表予定である。とくに海底電線敷設の自由は、公海の自由の一つとして当然に認められてきたものであるにもかかわらず、私企業による運用というその事業形態から、また、海底電線そのものには旗国が存在しないことから、国家対国家による紛争処理手続の俎上に上ることが想定しづらい。公海ガバナンスにおける国家の役割、ならびに、国際法の果たしうる機能は、さらなる検討が必要であることが確認できた。次に、国内においては、共同幹事を務めている国際判例事例研究会を通じて、国際裁判の判決そのものの検討を合同で行うことができた。 これらの成果は、領土海洋問題への取り組みのプロセスが、各国間の交渉・裁判・条約交渉というさまざな段階において重層的かつ複合的に扱われていることに接近するために重要な意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度も説明したところであるが、領土海洋問題に関連する個別の判決に関して、その裁判過程全体を分析し、意義と限界を検討するという本課題の進捗については、①いくつの判決を扱えるのか、それらの裁判過程をどこまでカバーできるのかという量的評価と、②いかに重要な判決を選択できるのか、どれほど深く、かつ多様な視点から分析できるかという質的評価がなされることになると考える。幸いにも研究期間の延長が認められたため、より多くの関連する諸判決に横ぐしを通しながら特定のテーマに対する示唆を得る共同研究者たちの研究成果に触れることができたことは幸甚である。個々の判決の丹念な分析を対話によって行うという本研究課題が当初予定していた研究手法とは大きく異なるものの、個々の判決の分析の位置づけについて示唆を得ることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、渡航制限も緩和されたことから、在外研究先であった英国での短期渡航を計画している。しかしながら、フォローアップというには期間が開いてしまったため、また、最終年度であることから、小規模なワークショップの開催等を視野に入れつつも、個人レベルでの助言や意見交換を行い、領土海洋法分野における最近の研究や実務の趨勢をアップデートしつつ、文献の渉猟ならびに公表論文の構想を進める機会としたい。本年度後半では、既に着手済みの事件と合わせて、本研究課題の基課題において分析を行っているペドラ・ブランカ事件やリギタン・シパダン事件・エリトリア・イエメン事件、カメルーン・ナイジェリア事件などとの総合的な検討を行い、今までの研究成果を基課題との連携も見据えて、公表論文としてまとめる作業を進める。
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Report
(5 results)
Research Products
(13 results)
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[Book] Iles et droit international Journee d'etudes de Paris2020
Author(s)
Societe Francaise pour le Droit International, Jean-Louis iten, Niki Aloupi, Lucius Caflisch, Sookyeon Huh, Mathias Forteau, Ida Caracciolo, Pierre Bodeau-Livinec, Valerie Parisot, Frederique Coulee, Valere Nido, Hyun Jung Kim, Laphaele Rivier, Lucie Delabie, Sarah Cassella, Yaouba Cisse, Santiago Villalpando
Total Pages
286
Publisher
Pedone
ISBN
9782233009579
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