Budget Amount *help |
¥7,100,000 (Direct Cost: ¥7,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Research Abstract |
hnRNPA1タンパク質(以下A1)はテロメア配列のDNA及びRNAに結合する。A1は2つの核酸結合ドメインBD1とBD2を有する。A1がこの2つのドメインを介して,テロメアDNAとテロメアの構成成分であるテロメレースRNAと同時に相互作用して形成される3者複合体に関して,生化学的及び構造生物学的な解析を行なった。まずA1がテロメレースRNAの部分配列(15-mer)と特異的に結合する事をゲルシフト法によって示す事ができた。450ヌクレオチドからなるテロメレースRNAにA1が結合する事は既に示されていたが,結合サイトを15ヌクレオチドに限局し,結合の特異性を確認できたのは今回が初めてである。次にA1が,テロメレースRNAとテロメアDNAの両方と同時に結合して3者複合体を形成する事を,ゲルシフト法によって示す事ができた。 3者複合体の形成様式を,NMR法によってより詳細に解析した。テロメアDNAへの結合は主にBD1中の残基が担っているが,BD2中の残基による寄与もある事が分かった。一方テロメレースRNAへの結合は主にBD2中の残基が 担っているが,BD1中の残基による寄与もある事が分かった。3者複合体が形成される事によって,結果的にテロメレースがテロメアDNAの所にリクルートされる事になる。上記のアミノ酸レベルでの情報に基づいて,このリクルートの現場に関する構造モデルを構築する事ができた。A1がテロメレースの活性を上昇させる事を我々は既に示してきた。これはA1によるリクルートと,A1によるテロメアDNAの4重鎖構造のアンフォールドによるものと考えられる。今回リクルート効果に関する構造基盤が得られた。今後これを阻害する低分子化合物ないしはデコイ(おとり)核酸をデザインする事で,テロメレースの活性の抑制ひいては癌の抑制に向けた進展が期待できる。
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