胸膜中皮腫の新規接着分子SgIGSF:胸膜面瀰漫性病変形成への関与の可能性
Project/Area Number |
18013033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 彰彦 Kobe University, 医学系研究科, 准教授 (80273647)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥5,700,000 (Direct Cost: ¥5,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | 胸膜播種 / 共生培養 / 腸間膜 / 免疫グロブリンスーパーファミリー / IgCAM / 細胞増殖 / TSLCI / Neci-2 / SynCAM / CADM1 / Shedding |
Research Abstract |
[緒言]Cell adhesion molecule 1 (CADM1;旧名称SgIGSF)は免疫グロブリンスーパーファミリーに属するマスト細胞接着分子で、マスト細胞と腸間膜中皮細胞との接着を媒介する。胸膜中皮腫は胸膜面に瀰漫性病変を形成し、しばしば肺や心臓を完全に包囲するが、肺実質内への浸潤傾向は著しく乏しい。従って中皮腫細胞は胸膜、特にその表面を覆う中皮細胞と相互作用する特別な道具を持っていると推測される。本研究ではCADM1がその道具の1つである可能性を検討した。[結果1]免疫組織化学及びウエスタン法によりヒト悪性胸膜中皮腫57症例におけるCADM1の発現を調べた所、少なくとも1/4の症例においてCADM1が腫瘍細胞の細胞膜上に高発現していることを見出した。一方、非腫瘍性中皮細胞は反応性異型を伴うものでもCADM1の発現は検出されなかった。中皮腫細胞はCADM1発現を獲得するものと考えられるが、その機序として細胞外ドメインshedding機構の異常を想定された。臨床病理学的な緒因子についてCADM1陽性症例と陰性症例との間に有意差はなかった。[結果2]5種の胸膜中皮腫細胞株ではCADM1の発現があるものが3つ、ないものが2つであった。両者を初代中皮細胞又は肺線維芽細胞単層培養上で共生培養して比較した。中皮細胞単層培養上では、CADM1陽性細胞は中皮細胞との良好な接着性を示し、陰性細胞より早く増殖した。CADM1陰性細胞は接着性に乏しくpile upする傾向が強かったが、CADM1全長cDNAを遺伝子導入すると陽性細胞と同様の接着性・増殖性を獲得した。一方、肺線維芽細胞単層培養上では陽性・陰性細胞間に大きな表現型の差はなく、いずれの細胞も中皮細胞単層培養上より増殖速度が著しく遅かった。[結語]胸膜中皮腫細胞に発現するCADM1は中皮腫細胞と中皮細胞との接着を媒介するだけでなく中皮細胞上での増殖も促進することで、胸膜中皮腫に特徴的な胸膜面彌漫性病変形成に関与している可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)