樹状細胞機能の理解に基づく腫瘍特異的免疫誘導法の開発
Project/Area Number |
18015016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田原 秀晃 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70322071)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥11,200,000 (Direct Cost: ¥11,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥5,600,000 (Direct Cost: ¥5,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥5,600,000 (Direct Cost: ¥5,600,000)
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Keywords | 免疫学 / がん治療 / 樹状細胞 / サイトカイン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
樹状細胞は、生体の免疫反応を司る機能を持つ細胞群である。この重要な細胞群そのもの、あるいは、その機能を果たすために使用されている物質を利用することにより、癌免疫治療の開発が可能になると考える。今回我々は、樹状細胞の分泌するサイトカインの一つであるIL-23に着目して研究を進めた。IL-23はTh1細胞の維持・活性化およびIFN-γの産生を促進するだけでなく、最近その概念の確立されたTh17反応に深くかかわっている。マウス皮下腫瘍モデルにおいて、IL-23 cDNAの生体内electroporation法(IVE)によりIL-23蛋白を全身投与したところ、IL-23はIL-12と同等の抗腫瘍効果を持つことが判明した。またこの治療を受けたマウスでは、リンパ節ならびに脾臓のリンパ球にCD3抗体によるT細胞受容体特異的刺激を与えたところ、非常に強いIFN-γならびにIL-17の反応が見られた。つまり、担癌マウスへのIL-23蛋白の全身投与により、強いTh1反応およびTh17反応の両者が誘導されることが判明した。この反応と抗腫瘍効果との関連を検討するためIFN-γノックアウトマウスを用いた腫瘍モデルにおいて、同様にIL-23全身投与による治療を施行したところ、IL-23の抗腫瘍効果は完全に消失した。よって、IL-23の抗腫瘍効果発現にはTh1反応の方が強く関与していることが示唆された。また、IL-12(p35)ノックアウトマウスではIL-23投与の抗腫瘍効果が有意に減弱した。よって、IL-23による抗腫瘍効果には、内因性IL-12が重要な役割を果たしていることが示唆された。以上の結果より、IL-23の全身投与はTh1およびTh17両者の免疫反応を強く誘導するが、抗腫瘍効果の機序としてはTh1が主たるものであり、内因性のIL-12の存在が重要であることが示された。また、PGE2とOK432の併用刺激により誘導した成熟樹状細胞はIL-12およびIL-23を高発現していることが判明したため、この系においてもIL-23が何らかの役割を持つことが示唆された。これらの結果より、IL-23を利用すると抗腫瘍免疫反応を増強し得ることが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)