Budget Amount *help |
¥6,400,000 (Direct Cost: ¥6,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
パーキンソン病(PD)では,後方脳領域と関連した高次視知覚障害や視覚認知障害が存在し,PDに高頻度に出現する錯視や幻視に関与している可能性がある.そこで,痴呆を伴わないPD患者にて高次視知覚と錯綜図認知が障害されているかを検証し,FDG-PETを用いた安静時局所脳糖代謝との相関をもとにそれらの障害の脳内基盤を検討した.対象はPD患者41例と,年齢,教育年数を統制した健常対照群(NC)20例.1.高次視知覚課題:標的刺激を画面に提示,標的刺激の位置や標的刺激がつくる形を二択で答えさせた.解答の正誤に基づき刺激提示時間を制御した.40試行実施し,最後の5試行の平均提示時間を標的刺激の知覚閾値とした.2.錯綜図課題:4つの線画を重ね描きした刺激を提示し同定させた.成績は,提示されたものを同定できた数(正答数)と不提示のものを誤って報告した数(誤答数)を測定した.FDG-PETで安静時の局所脳糖代謝を測定し,SPM5を用いて各視覚課題の成績と脳糖代謝が相関した領域を解析した.その結果,1.高次視知覚課題:PD群は,NC群と比較して交叉の有無の形と,Kanizsa型主観的輪郭刺激に対してのみ知覚に要する時間が有意に延長していた(p<.05).交叉・形の成績と負の相関を示す局所脳糖代謝領域は,右下側頭後頭接合部領域,左中側頭後方領域であった.また,Kanizsa型の成績とは,両下側頭後頭接合部領域,左下頭頂小葉領域の脳糖代謝が負の相関を認めた.2.錯綜図課題:PD群とNC群との間に正答数では差がなかったが,誤答数がPD群にて多かった(p<.05).誤答数は,両側の下側頭葉,側頭頭頂後頭接合部領域の脳糖代謝が負の相関を示した.痴呆を伴わないPDにおいて高次視覚領域の脳糖代謝と関連した視覚認知障害を呈していることが明らかとなった.
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