Budget Amount *help |
¥6,100,000 (Direct Cost: ¥6,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,人間言語に固有の特性である「再帰的計算によって統語構造を構築する能力」の認知神経基盤を探るために,「統語的プライミング」と呼ばれる現象を手がかりにとしてf照1を使用した脳機能イメージングや事象関連電位計測などの実験的研究を実施することである.本年度は,次の(1)〜(4)の研究を実施した.(1)文産出時における統語構造構築の過程を探るため,受動文の産出過程における統語的プライミング効果を探る行動実験を実施し,受動文産出の際に顕著なプライミング効果が観察されること,効果は主に文法関係を決定する段階で生じていることが明らかになった.(2)文理解の過程を探るため,かきまぜ文の処理過程に関する行動実験及び事象関連電位計測実験を実施した.話者がか豊まぜ語順に気付いた時点と,文末の動詞を処理する時点の二箇所で主要な処理負荷の増大が見られること,かきまぜ語順に気付いた時点でN400と呼ばれる事象関連電位成分が観察されることがわかった.(3)計画班メンバーである東京大学酒井邦嘉氏との共同研究として,敬語文処理の脳機能イメージング実験を実施し,研究成果を学術誌おrainandLanguageに掲載した.(4)話者が言語を処理する際に,視覚呈示されるオブジェクトをどのように注視するか計測する「視覚世界パラダイム」と呼ばれる実験方法を用いて,文の産出過程におけるメッセージの組み立て,文法関係の決定,語順の決定などの複数の過程の関与を検討し,文頭の単語の産出と平行して文法関係の決定が行われていることを示唆する結果を得た.これらの研究成果を国内外の学会で発表するとともに,前年度までの研究成果を学術誌に掲載しだ脳機能イメージング研究に関する研究情報を入手して意見交換を行うため,香港大学認知脳科学中核研究拠点からLi-HaiTang教授を招聘し,講演会を実施した.
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