Budget Amount *help |
¥6,800,000 (Direct Cost: ¥6,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Research Abstract |
バレルは,齧歯類の大脳皮質体性感覚野の第4層に存在する特徴的な組織学的構造であり,その形成は活動依存的神経回路発達の有用なモデルである。しかし,分子レベルの機構はほとんど不明である。アクチン細胞骨格の制御を介した機構の関与が示唆されるが,本年度は,その機構に関して重要な知見を得ることができた。Rhoファミリー低分子量G蛋白質は,アクチン細胞骨格を制御する鍵となる分子だが,その上流の制御に関しては不明の点が多い。われわれは,Rac (Rhoファミリーの主要なメンバー)特異的抑制因子であるαキメリンの遺伝子の突然変異マウスを発見し,その表現系が,エフリンB3欠損マウスおよびEphA4欠損マウスと類似していることに気づいた。αキメリンがエフリンB3-EphA4シグナルの下流のシグナル伝達に関与するという仮説をたて,その検証を行った。培養細胞を用いた過剰発現系および神経細胞や脳組織を用いた内在性蛋白質を用い,EphA4とαキメリンが結合することを示した。また,培養細胞を用いた系で,エフリンB3-EphA4シグナルがαキメリンによるRac抑制を誘導することを見いだした。さらに,エフリンB3-EphA4シグナルがαキメリンを介してアクチン細胞骨格を制御していることを,変異マウス由来の神経細胞を用いた成長円錐崩壊実験で確認した。以上の結果から,エフリンB3-EphA4シグナルがαキメリンを介してRacを抑制し,それによってアクチン細胞骨格を制御していることが明らかとなった。これは細胞骨格制御に,エフリン-EphシグナルによるRhoファミリー抑制系が関与することを初めて示したものであり,細胞骨格制御の新しい機構を提示した。エフリン-Ephは,体性感覚系回路の微調整だけでなく,トポグラフィック投射にも重要な働きをすることが示されており,その過程におけるαキメリンの関与にも興味が持たれる。
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