Budget Amount *help |
¥8,000,000 (Direct Cost: ¥8,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Research Abstract |
スクッテルダイト化合物は,f電子の多極子および近藤効果に由来する様々な異常物性を示す.本研究は,技術的に困難なため従来行なわれていなかった遷移金属核NMR/NQRによりこれらの物性を解明するとともに,関連するf電子系で多極子による異常な物性を明らかにすることを目的とした. 1.スクッテルダイト化合物の遷移金属核MNR/NQRに関し,57FeをenrichしたPrFe_4P_<12>を作製して57Fe核NMRによる研究を行なった.PrFe_4P_<12>は秩序相の秩序変数が長年謎とされてきた物質であるが,57Fe核のNMR共鳴シフトが秩序相でも減少しないという重大な異常を見出し,秩序変数と,磁場誘起多極子との超微細相互作用の特徴を明らかにした. 2.関連するf電子系化合物で,f電子の多極子,及び多極子が関わる近藤効果と考えられる物性について,以下の成果を得た.(1)TmAg_2Inの単結晶を育成し基礎物性の詳細な測定を行ない,Γ_53重項を結晶場基底状態とすること,1K近傍に巨大な比熱異常を示した後,より低温の0.25Kで相転移を示すことを明らかにした.秩序変数の同定には至らなかったが,Γ_53重項が4極子自由度を有するので,秩序や近藤効果様の比熱異常に4極子が関与する可能性があることを明らかにした.(2)前年度の研究で,SmAg_2InがΓ_84重項を結晶場基底状態とし,低温で多重相転移を示すことを明らかにした.Γ_8が双極子,4極子,8極子の自由度をすべて有することから,様々な多極子間の相互作用の競合による複雑な秩序相が期待されるが,NMR,極低温比熱から,多重相転移は双極子間の交換相互作用のfrustrationによっており,主要な秩序変数が双極子であることを明確にした.
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