Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
今年度は,古典電磁気学における多極子展開のアナロジーを利用して,f電子の多極子を一体の電荷・スピン演算子として表現するための一般論を展開し,線形応答理論に基づく多極子感受率の計算から多極子状態を曖昧さなしに決定するスキームを完成させた。具体例として充填スクッテルダイト化合物を取り上げ,7軌道不純物アンダーソン模型に基づいて数値繰り込み群法によって多極子感受率を計算し,重希土類イオンの多極子状態を明らかにした。特に,GdやEuイオンのようにf電子を7つ含む場合,LS結合描像では双極子モーメントしかあり得ないが,現実には四極子モーメントも活性化し,低温物性に影響を与える可能性があることを指摘した。Hoの場合には,八極子モーメントに支配されるエキゾチック磁性状態を見出した。TbとTmに対しては,低温では顕著な多極子モーメントは期待されないが,Dy,Er,Ybの場合は,双極子やより高次の磁気多極子モーメントが支配的になることを見いだした。 また,電子格子系の近藤効果を議論した。特に,電荷密度と結合するホルスタインフォノンの場合,電子格子結合定数gによって,近藤温度T_Kが最大になることを見いだした。まず,gがゼロから増加していくとT_Kは増大するが,これは,クーロン相互作用Uがフォノン媒介の電子問引力U_<ph>によって弱められるからである。そして,U〜U_<ph>では,局所電子状態は4重縮退を持ち,T_Kは最大となる。さらにgを大きくしてU<U_<ph>になると,gの増加とともにT_Kは減りはじめる。つまり,UがU_<ph>によって殆ど打ち消されるあたりで近藤効果は顕著に強められるのである。
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