Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
固体材料の弾性定数は、構成原子間の結合力、構造、および微視組織を反映した力学的な物性値である。弾性定数は、熱力学的には内部エネルギーをLagrange歪みで級数展開した際の2次項に関する展開係数として定義され、デバイ温度や比熱、グリューナイゼン定数といった諸物性値と強い相関を持つ。このため、弾性定数の精密計測とその理解は、固体の力学・物性研究において不可欠な研究課題である。そこで本研究では、Pd系、Zr系、Pt系およびCu系の様々な金属ガラスについて弾性定数の精密計測を行うことで、力学的な視点からその材料特性を明らかにすることを目的とし、研究を実施した。弾性定数の計測には電磁超音波共鳴法と呼ばれる独自の手法を採用し、これにより全ての金属ガラス試料について、5Kから各試料のガラス転移点まで弾性定数計測を実施することができた。低温計測の結果、いずれの金属ガラス試料も顕著なG/B比の低下を示すことが確認された。このため、ガラスは本質的に不均一な微視構造を有しており、その内部には液体に類似した力学特性を示す領域が存在するものと推測される。一方、高温計測の結果、このG/B比はガラス転移点近傍において極端な低下を示すことが明らがどなった。これらの実験研究と並行して行った分子動力学解析の結果、ガラス転移近傍においては、液体に類似した低密度領域が系全体へPercolateする現象が確認された。そのため、実験により得られたガラス転移現象を理解するためには、ガラス構造に内在した不均一性とそのPercolate効果を同時に考慮する必要があると考えられる
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Jpn. J. App. Phys 印刷中
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Journal of Applied Physics (出版中)