Budget Amount *help |
¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
タンパク質の振動スペクトルにおいて,1700-1600cm^<-1>に位置するアミドIバンドは,特に2次構造を反映する形状を示すことで知られているが,重要な幾つかの問題点が,未解決のままとなっている。それらを解決することを目的として,本年度は以下の研究を行った。 (1)タンパク質のアミロイドに特徴的なアミドIバンドの形状が生み出されるメカニズムを詳細に明らかにする一環として,グルタミンおよびアスパラギン側鎖のアミド基が主鎖のペプチド基と振動相互作用を引き起こす可能性を,理論的に検討した。その結果,その振動相互作用の影響が,同位体置換によるバンド強度の変化に現れることが分かった。 (2)ペプチド基のアミドIモードに対する水溶媒の動的挙動効果のメカニズムを詳細に明らかにする一環として,水溶媒が重水となった場合の変化を理論的に検討した。その結果,振動数揺らぎに含まれる減衰振動成分の周期が,軽水中では〜43 fsであるのに対し,重水中では〜60 fsであることが見出され,水分子のlibrationに由来することをサポートする結果となった。 (3)水のOH伸縮振動励起の分子間移動に関わる理論計算結果が,計算に用いるポテンシャルモデルにどのように影響されるかを,理論的に検討した。TIP3P,TIP4P,TIP5P,SPC/Eの4種を比較したところ,時間領域分光シグナルについてはTIP5Pも良い結果を導くものの,振動数領域分光シグナルについてもあわせて考慮すると,SPC/Eモデルが最も実験に近い結果を導くことが分かった。
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