水溶液における生体分子の機能とその発現機構に関する量子化学的研究
Project/Area Number |
18031022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 英明 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (10291436)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥5,600,000 (Direct Cost: ¥5,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | QM / MM / エネルギー表示 / 自由エネルギー / タンパク質 / 水溶液 / 電子伝達 |
Research Abstract |
我々は、最近、実空間グリッドを基底とするハイブリッド型の第一原理分子法(QM/MM法)と新規な溶液論(エネルギー表示の理論)を組み合わせることによって、効率良く、正確に溶液内の化学過程の自由エネルギー変化を計算する方法を開発した(QM/MM-ER法)。本研究課題の主たる目的は、酵素内の様々な化学過程の自由エネルギー変化を計算するためにQM/MM-ER法を拡張することである。本年度は、タンパク質1b4v中に埋め込まれた補酵素FADの還元反応に伴う自由エネルギー変化をQM/MM-ER法を拡張することによつて計算した。この方法の大きな特徴は、FADに付加する余剰電子1個を溶質と見なすことにある。水、アポタンパク、FADが混合溶媒を形成するとして、これらの溶媒について、エネルギー分布関数を構成し、各溶媒からの還元自由エネルギーに対する寄与を計算した。水分子、アポタンパク、FAD、ADPによる還元自由エネルギーへの寄与は、それぞれ、-57.5kcal/mol,-149.7 kcal/mol,-31.9 kcal/mol,55.1 kcal/molと計算された。また、バルクの水の寄与は、21.0 kcal/molである。FADの還元自由エネルギーは、これらの寄与の単純な和として、-163.1 kcal/molと計算される。このような大きな還元の自由エネルギー変化は、タンパク質全体が+3価に帯電している為である。この計算値は、報告されている実験値、-90.6kcal/molから大きくずれている。実験では、タンパク質の電荷を中和するようなカウンターイオンが含まれていることが、その差の原因と考えられる。 また、本年度の後半では、酵素活性サイトのプロトン化状態を決定するための方法論の定式化を行い、プログラム開発を行った。10個の残基からなる最小のタンパク質、シニョリン(iuao)をテスト系として、QM/MM-ERシミュレーションを行った。シニョリンのような小さなタンパク質でも気相中と溶液中の平均構造に大きな違いがあり、それ故に参照系と溶液系のエネルギー分布関数が十分にオーバーラップしないという結果がでた。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] A Novel QM/MM Method Combined with the Theory of Energy Representation : Free Energy Calculation for the Beckmann Rearrangement Promoted by Proton Transfers in the Supercritical Water.2007
Author(s)
Takahashi, H., Tanabe, K., Aketa, M., Kishi R., Furukawa, S., Nakano, M.
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Journal Title
Journal of Chemical Physics 126
Pages: 84508-84508
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