Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究では、新しい一分子観察法を提案し、実際の蛋白質を対象に手法の有用性を示した。この手法では、蛍光色素でラベルした蛋白質を、レーザー照射したキャピラリーにー分子ごとに流し、分子が発する蛍光を輝線として検出する。この手法を使い、シトクロムcが折り畳み転移する様子の観察を行った。得られた-分子の蛍光強度の頻度分布には、中間状態と変性状態に対応する二つのピークが見られた。さらに、時系列データの自己相関関数を計算したところ、中間状態はミリ秒以内に減衰を示した一方で、変性状態の減衰は15ミリ秒程度だった。この結果は、変性蛋白質の運動が、従来考えられていたよりも遅いことを示唆する(発表論文1)。新しい装置開発として、二重のキャピラリーを持つ「鞘流セル」を制作した。このセルでは、蛋白質資料の位置を流路の中心部のみに制限することで、データのS/N比の向上と試料の吸着を減らした観測が可能になった。さらに、溶液混合を用いた非平衡状態での観測が可能となった。このセルを用いることで、変性状態からpHジャンプを起こした後のシトクロムcの運動について、予備的な観測を行った。アポミオグロビンの折り畳み過程について、時間分解赤外吸収観測を行った。蛋白質のアミドI領域を観察することで、さまざまな二次構造要素の分別が可能である。特に、疎水的環境に埋もれたヘリックス構造と、水に接触した水和ヘリックスの区別が可能である。折り畳み開始直後から水和したヘリックスの含量が大きく増え、折り畳みの律速段階で量を減らした。アポミオグロビンが水を巻き込んだ形で折り畳み中間体を作り、その水が脱水和することで折り畳み構造が作られることを示している(発表論文2)。
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All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Book (2 results)
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