Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
自然免疫は全ての多細胞生物が有する普遍的な生体防御機構である。自然免疫は獲得免疫の成立にも必須であることから、免疫学研究の中心になっている。自然免疫を制御する化合物は敗血症や日和見感染症などの治療薬のリード化合物、または自然免疫機構を解明するためのバイオプローブになりうると考えられる。私はヒトと昆虫の自然免疫機構の類似性に着目し、これまでに遺伝子導入ショウジョウバエを用いた自然免疫制御物質を探索するための独自のスクリーニング系を開発し、多数の微生物抽出物に関してスクリーニングを実施した。その結果、Talalomyces属糸状菌から活性成分としてフィトセラミド類縁体(仮称:P-76)を単離した。さらに、TP-76の活性発現に必要な構造部位を明らかにするため、TP-76およびその類縁体を合成した。TP-76、そこに存在する水酸基を除去した化合物、フィトスフィンゴシン部位をスフィンゴシンへと変換した化合物、カルボン酸部位の長さを変えた化合物を合成した。その結果、自然免疫抑制活性の発現には、TP-76のもつ構造単位のいすれも必須であることが明らかとなった。一方、P-76はショウジョウバエにおいては自然免疫抑制作用を示し、HUVECにおいてはIL-8の産生を誘導することを明らかにした。さらに、その活性発現機構を明らかにする目的でマイクロアレイによる解析を行い、TP-76がケモカイン類の転写を選択的に促進することを明らかにした。以上からTP-76は新たな免疫賦活剤のリード化合物となる可能性が示唆された。
All 2006 Other
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Life Science 80
Pages: 113-119
Biochemical Pharmacology (In press)