Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
生命現象を解明するために、生理活性小分子化合物はさまざまな形で利用されてきた。その中で最も直接的な利用法は、化合物の標的タンパク質を精製・同定することだろう。しかし、標的タンパク質の生化学的精製は困難を極める作業であり、その成功率は低い。本研究の目標は、成功率を向上させる方法を開拓することである。化合物の標的タンパク質精製では、ビオチン化化合物を用いるのが簡便。ビオチン化した化合物をアビジンアガロース担体に結合させ、化合物のアフィニティー担体をつくり、標的タンパク質を細胞抽出液から釣り上げてくる。研究代表者らはこのような精製を繰り返し行う中で、改良を行い、「釣竿法」という方法を開発した。この方法を用いれば、標的タンパク質の細胞抽出液からの回収率が格設に良くなることがおおい。この「釣竿法」をさらに改良し確立させ、特定研究で発見されたり合成される化合物の標的タンパク質決定に活用してきた。例えば、領域内の木越らが精力的に研究してきた海洋天然物オーリライドをとりあげた。この細胞毒化合物は、低濃度(数nM)で細胞にアポトーシスを引き起こすが、そのメカニズムは謎であった。釣竿法を試したところ、標的タンパク質がプロヒビチンであることが判明し、その結果を生化学、分子生物的、細胞生物学的手法で確認した。この他にも、領域内の他の研究者と協力して、生理活性化合物の標的決定を釣竿法で試み、今後の研究へとつながる成果を得た。この釣竿法は製薬会社5社で現在用いられるようになっている。
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J.Am.Chem.Soc. 129(4)
Pages: 8-8
http://www.scl.kyoto-u.ac.jp/~uesugi/