Budget Amount *help |
¥6,200,000 (Direct Cost: ¥6,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
コリラジンとダビジインの全合成を行った。両者ともエラジタンニン類に属する化合物で,分子内のグルコース部分のピラノース環が反転し,アキシアル・リッチな立体配座になっている点が特徴である。このようなピラノース環の立体配座が反転したエラジタンニン類は多数知られており,興味深い生物活性も報告されている。しかし,合成例はこれまで無かった。 エラジタンニン類は,基本的に分子内にD-グルコースとヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)基を含んでいる。HHDP基がグルコース上の離れた位置にある水酸基を架橋する構造を取るとき,その立体配座が反転する。従って,このようなエラジタンニン類の合成では,HHDP基の構築が重要な段階となる。 私は2年前の本概要でコリラジンの合成を報告した。その合成はHHDP基の構築段階に,既知法であるFeldmannの方法を利用した。しかし,この方法では多くの位置異性体混合物が生成し,合成では混合物の分離操作を行わず強引に最終生成物へと導き,最後にHPLCを駆使して目的化合物を低収率で単離したものであった。 今回,没食子酸の4位水酸基だけを保護した誘導体を用いた効率的なHHDP基構築法を新たに開発し,コリラジン合成の効率を格段に向上させた。また,本方法は,ダビジインの全合成にも応用できた。 コリラジンとダビジインは、それぞれ,グルコースの3,6位,及び1,6位をHHDP基が架橋した構造を有する。そのため,HHDP基構築段階以外にも,それぞれの構造を的確に構築できる合成経路の開発も併せて行った。すなわち,コリラジンではHHDP基を構築する以前にピラノース環を一旦開く経路を採用した。また,ダビジインの合成では嵩高いシリル保護基の立体反発によるグルコース部分の立体配座制御を利用した。
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