Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
(+)-樟脳酸の銅塩のピラジン、ビピリジン、およびDABCO錯体はチャンネル構造を持つ三次元の無限格子構造を有し、これらのチャンネル内部は二次元シート状の(+)-樟脳酸部位によりホモキラルな環境となっている。また、いずれの錯体も、その細孔はバルクでもホモキラルである。(+)-樟脳酸は容易に入手できる光学活性ジカルボン酸であるが、直線構造ではないため、その遷移金属塩の結晶構造を予測しにくい。剛直で直線状の光学活性ジカルボン酸を使えばナノ細孔の精密分子設計が可能になると期待できる。剛直な直線構造と不斉を両立させるために、軸不斉カルボン酸を考え、また、触媒性官能基となりうるフェノール性ヒドロキシ基を有するビナフトールを基本骨格として用いることにした。(S)-ビナフトールを原料として用い、4段階で4,4′-位をジブロモ化した。この直接カルボキシかを検討したが、ブチルリチウムで処理すると分解したため、鈴木-宮浦反応あるいはStille反応でビニル化した後、酸化して直線構造を有する軸不斉カルボン酸を得た。一方、光学活性アレン-1,3-ジカルボン酸の合成も検討した。アレン-1,3-ジカルボン酸を3-ブチン-1-オールから2段階で合成し、キニーネによる光学分割を検討したが、アレン-1,3-ジカルボン酸は熱的に不安定性で分解してしまった。そこで、アセトン-1,3-ジカルボン酸エチルから2段階でアレン-1,3-ジカルボン酸のメンチルエステルを合成し、そのジアステレオマー分離を経て光学活性なアレン-1,3-ジカルボン酸を得た。さらに、直線構造を有してはいないものの、軸不斉を有するジカルボン酸として2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチル-3,3′-ジカルボン酸を用いて銅塩を作成した。ラセミのジカルボン酸を用いたところ、二次元無限シート構造を有し、細孔を持つ結晶が得られた。それぞれのシートはホモキラルであった。細孔径は4.4Åであり、単結晶X線構造解析の結果とよく一致した。
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