ケイ素多重結合化合物を活用した炭素π電子系化合物の構築
Project/Area Number |
18037008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 章 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (90143164)
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | ケイ素-ケイ素三重結合 / ケイ素多重結合 / ケイ素-炭素結合形成反応 / 環化付加 |
Research Abstract |
申請者らが単離可能なケイ素-ケイ素三重結合を持つ化合物「ジシリン」の合成・単離に成功し、その分子構造を決定した。炭素-炭素三重結合化合物アセチレンが直線構造を持つのとは対照的にジシリンはトランス折れ曲がり構造を持ち、三重結合を形成する二つのπ結合は非等価であり、そのπ軌道準位はアセチレンのそれと比較すると著しく高いなどの特徴を有することを明らかにしている。本研究では、ジシリンと炭素一炭素多重結合化合物(オレフィン類、アセチレン類)との反応性について検討した。 ジシリンはオレフィン類に対し容易に[2+2]環化付加反応が進行し、特にcis-及びtrans-2-ブテンとの反応では用いたオレフィンの立体を保持した立体選択的付加が起こることが分かった。本反応については理論計算を行い、二つのspケイ素原子に対し競争的に二つのSi-C結合形成を起こすのではなく、一つのspケイ素に対してオレフィン炭素が接近してシラシクロプロパン環を形成し、次いでもう一方のspケイ素原子の挿入による環拡大反応が進行して形式的な[2+2]環化付加反応が起こっていると推定された。 また、フェニルアセチレンとの反応で1:2付加体として1,2-ジシラベンゼンが生成することも明らかとなった。各種NMRデータ及びX線構造解析に成功した誘導体の分子構造から、1,2-ジシラベンゼンが十分な芳香族性を持つことも示唆された。ジシリンとアセチレン2分子の形式的[2+2+2]環化付加反応についても理論計算を行い、1分子目のアセチレンの付加はオレフィンと同様な機構で進行してジシラシクロブタジエン中間体を与え、次いで2分子目のアセチレンの[4+2]環化付加により1,2-ジシラデュワーベンゼン、続く原子化異性により最終的に1,2-ジシラベンゼンを生じているものと推定された。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)