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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
アルキンから発生する炭素不飽和活性種の利用法のさらなる拡大を目的に、活性種の動的挙動に着目し原子効率的アルキンの変換法に関する研究を行った。その結果、これまで錯体の反応として知られていたアルキニルカルベン種の転位反応(メタロトロピー)が触媒反応においても進行することを明らかにし、この転位を利用したオリゴイン類の新しい変換反応を開発した。対称な三級の酢酸プロパルギルダイマーを、5.0mol%の[RuC12(CO)3]2触媒の存在下、1,2-ジクロロエタン中50℃で48時間反応させたところ、異性化したジエンインが得られた。また、対称な二級の酢酸プロパルギルダイマーを同条件下反応させたところ、非対称な異性化生成物が得られた。また、対称な一級酢酸プロパルギルダイマーでは、全く異性化反応は進行しなかった。このことは、一級酢酸プロパルギルからビニルカルベン錯体が発生しない我々の以前の報告結果と一致する。一方、三級とr級の酢酸プロパルギル部位を有する非対称ジインからは、異性化反応が進行し、異性化生成物が得られた。また、対称型トリイン、およびテトラインからはそれぞれ、異性化生成物が得られた。この結果は、発生したカルベン錯体においてそれぞれ[1,5]および[1,7]メタロトロピーが進行したことを示している。 現在内部オリゴインから発生する内部カルベン中間体の捕捉には成功していないが、末端ジインは1,1-ジフェニルエチレンと反応し、シクロプロパンを与えた。この結果は、発生したカルベン錯体が隣接アルキンを介して末端に[1,3]シフトした中間体がアルケンにより捕捉されたとことを示している。
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