光環化付加によるベンゾトリキナン類の新規骨格構築法
Project/Area Number |
18037063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10109879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40295720)
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 多環式化合物 / 光反応 / 光環付加反応 / ベンゾトリキナン / ナフタリン / 分子内[3+2]環化付加 / エキシプレッックス / アルケン |
Research Abstract |
複雑な多環式化合物構築のための簡便な炭素骨格変換法の確立を目的として、ナフタレン環へのアルケンの分子内[3+2]光環化付加反応をキーステップとするベンゾトリキナン骨格および関連する多環式化合物の合成を行い、以下の知見を得た。(1)1-シアノナフタレンとアルケンとをナフタレンの2位で連結した化合物1にパイレックスガラスで作成したフロー系マイクロリアクターを用いて光照射すると、分子内[2+2]光環化付加体2が高効率・高選択的に生成した。(2)単離した2に光照射すると速やかに1に光開裂した。したがって1と2は可逆的プロセスであり、フロー系を用いることにより2から1への開裂を抑制した。(3)1に通常のバッチシステムで30時間以上光照射すると、2はまったく得られず、分子内[3+2]光環化付加体3が高選択的に生成した。(4)上記反応はベンゼン、アセトニトリルいずれを用いても進行するが、2の生成にはベンゼンが、3の生成にはアセトニトリルがより優れた溶媒であった。(5)3の構造は各種スペクトルデータならびにX線構造解析によってベンゾトリキナン骨格をもつ5環系または6環系化合物であることを決定した。(6)2および3はベンゾフェノンのような三重項光増感剤を用いても進行せず、2-メチル-1,3-ブタジエンのような三重項消光剤を添加しても反応は抑制されなかった。また、1の蛍光は母体の1-シアノナフタレンの蛍光に比べて大きく分子内消光され、長波長側にエキシプレックスに由来する弱い発光が観測された。以上の結果から、この光反応は1の励起-重項状態から生じる分子内エキシプレックスを経由して、2と3を与えるものと推定した。2はこの光反応条件下で速やかに1に戻るため、長時間の照射によって最終的に3のみが生成する機構で合理的に説明された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)