複数生体分子の同時デジタル計測実現に向けた蛍光プローブ設計法の確立とその実践
Project/Area Number |
18038008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20292956)
|
Project Period (FY) |
2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 蛍光プローブ / 光誘起電子移動(PeT) / d-PeT / ニトロ化ストレス / パーオキシナイトライト / BODIPY / 生細胞アッセイ / 論理的設計 |
Research Abstract |
本年度は、確立してきた設計法の応用的展開による、蛍光プローブの検出対象分子の拡大に関する研究を行った。具体的には、観測対象反応により基質の電子密度が向上する場合に有効に機能する設計理念である、蛍光団=電子供与体とするプローブ設計法(d-PeT)を、従来とは異なる視点から活用し、近年注目を浴びている活性酸素種であるパーオキシナイトライトの蛍光可視化プローブの開発を試みた。これまで一般に、ニトロ基は蛍光の消光を引き起こす官能基と考えられてきたが、この消光は強い電子吸引性に基づくd-PeTによるものであるとの作業仮説を立て、まずこの物理化学的な証明を行った。具体的には、蛍光団(電子供与体)として電子吸引基を導入して電子密度を低下させたBODIPYを持ち、8-位ベンゼン環部位として電子供与性基を持つニトロベンゼンを有し、分子内d-PeT過程を熱力学的に不利にしたパイロット化合物を合成し、その反応特性を検討した。その結果、本化合物はニトロ基を有するものの高い量子収率を持つ高蛍光性化合物であり、先の作業仮説が正しいことが示された。そこで次に本知見を活用し、パーオキシナイトライトと反応する前はa-PeTによる消光のため無蛍光性であり、かつそのベンゼン環部位がニトロ化されることで、a-PeTもd-PeTも起きないように蛍光団・ベンゼン環部位の電子密度を最適化した蛍光プローブ(NiSPYs)を設計・合成した。その特性を精査した結果、NiSPYs自身はほぼ無蛍光であり、これがパーオキシナイトライトと反応することでその蛍光が線形性を持って飛躍的に増大し、かつ他のROSとはほとんど反応しないことが明らかとなり、ニトロ化ストレスを高選択的に検知可能な蛍光プローブであることが明らかとなった。さらにNiSPYsを取り込ませたHeLa細胞で、パーオキシナイトライトによる細胞内蛍光の上昇の観測にも成功し、生細胞系への適用が可能な実用的なプローブであることも明らかとなった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)