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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
抗体は万能分子認識素子としてプロテオーム解析ツールとしても大きく期待される一方,生理的条件の細胞質は還元条件であるため,各ドメインのフォールディングに必須なSS結合が出来ず,従来抗体を生細胞細胞質で機能させることは困難と考えられてきた。そこで我々は分子内シャペロン活性のあるマルトース結合蛋白質(MBP)との融合発現により,還元的細胞質においてファージライブラリから選択した一本鎖抗体を機能的に発現させ,生細胞内で抗原を検出できないか試みた。本年度はモデル抗原として活性検出の容易な転写制御因子の一つDR1を用い,GST-DR1を大腸菌で発現してこれを用いたヒト型一本鎖抗体ファージライブラリのスクリーニングによりDRI特異的クローン3種を得た。そこでこれらをMBPおよびGFPとの融合タンパク質としてCOS-1細胞に発現させ蛍光顕微鏡で観察したところ,結合能の高いクローン2種を導入した細胞質で特徴的な輝点を観察した。そこでDR1を赤色蛍光タンパクmDsRed2と融合させ共発現させたところ,両者の共局在が認められた。またウェスタンブロットにより,MBP-scFv-GFP融合タンパク質は期待された分子量のものが発現していることが確認された。また,これらのベクターとともにTBPを介した転写活性のレポーターとしてSV40あるいはHSP70Aプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子をもつプラスミドを共導入したところ,Dr1の活性であるTBP依存的転写活性化の抑制(シグナル減少)を,MBP-scFvが抑えていることを示唆する結果を得た。また別の実験で,抗フルオレセインscFvを大腸菌細胞質でMBP融合タンパクとして発現させた場合,細胞内にフルオレセインを導入すると非発現菌より有意に蛍光強度が強まるとの結果を得た。以上より,一般的なファージ抗体ライブラリから取得した一般的な抗体であっても,MBPと融合させることで生細胞内で機能的に発現可能なことが示されたと考えられる。
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