Budget Amount *help |
¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,スーパークリーンな系であるRu214酸化物において,磁場・圧力で内部自由度を制御したとき現れる新奇量子凝縮相・現象を探索する.また,その状態の特異性を明らかにし,それらの発現機構の理解を進めることにある.今年度得られた具体的成果を以下に示す. (1)圧力誘起モット転移系Ca_2RuO_4の遍歴強磁性を基底状態とする2次元金属と異方的強磁性 (a)Ca_2RuO_4は0.5GPa以上の加圧でモット転移し,遍歴強磁性を基底状態とする2次元金属となる.この様な2次元電子系での遍歴強磁性は他に例をみない.また,この強磁性の遍歴性は,典型的遍歴強磁性体MnSiと同程度である. (b)Ca_2RuO_4の強磁性はきわめて異方的である.磁化,磁気抵抗の測定から、異方性磁場を約10Tと見積もった.これはd電子系遍歴強磁性としては最大の磁気異方性である.このことは,通常,d電子系では軌道の効果は無視できるが,この系ではそれが重要であることを意味する. (c)この強磁性のT-cは,さらなる加圧で6GPa付近で最大約25Kとなった後,減少に転じ,9GPa付近で突然消失,量子相転移の存在を示唆する.今後,エキゾチックな超伝導の発見が期待される. (2)超音波を用いたSr_2RuO_4のスピントリプレット超伝導状態の研究 Sr_2Ru0_4の超伝導はトリプレット状態にあると考えられているが,これを決定づける実験として,超音波による弾性定数の温度・磁場変化を測定した.その結果,磁化の温度・磁場相図に現れる磁場誘起超伝導相は確認できなかった.しかし,臨界点付近で弾性定数の温度・磁場依存性を詳しく調べ,M.Sighstの理論と比較した.その結果,トリプレット超伝導特有の現象である横波弾性率(C_<l1>-C_<l2>)/2とC_<33>の飛びを観測,Sr_2RuO_4の超伝導がトリプレット状態にあることを確認した.
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