Budget Amount *help |
¥8,800,000 (Direct Cost: ¥8,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
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Research Abstract |
脂肪細胞分化におけるTRB3の機能解析を目的として,マウス由来前駆脂肪細胞3T3-L1の脂肪細胞分化過程におけるTRB3の発現変化を調べたところ,分化初期のclonal expansion時には一時的にその発現が低下し,その後分化に伴って徐々に上昇することがmRNA,タンパクレベルで示された。この発現パターンはストレス誘導性の転写因子CHOPの発現と連関していた。これらは他のマウス白色脂肪細胞株(HW11),褐色脂肪細胞株(HB2)の分化においても同様にみられた。3T3-L1細胞にTRB3を過剰発現させると,細胞内のTriglycerideの総量,および脂肪細胞分化のマスターレギュレーターPPARγの標的遺伝子mRNA発現量が対照群に比べ有意に減少した。一方,TRB3 shRNAによるノックダウンを行うと,脂肪細胞分化は逆に強く阻害された。また,TRB3とPPARγは細胞内で結合し,PPARγの過剰発現による脂肪細胞分化もTRB3の強発現により強く抑制された。以上のことからTRB3はPPARγの転写活性を負に制御することで脂肪細胞分化を抑制することが示された。 次に,細胞内での脂質や糖の代謝系へのTRB3の影響を検討した。以前,TRB3は栄養飢餓時にPGC-1α-PPARα依存的な経路で誘導され,Aktの活性を阻害することにより,糖新生が亢進することが知られていた。そこでヒト肝癌細胞株HepG2などを用いて肝臓での糖代謝に重要な転写共役因子PGC-1αの機能に対するTRB3の影響を調べた。TRB3がPGC-1αと細胞内で強く結合すること,TRB3を強発現させるとPGC-1αの転写活性化能が阻害され,ノックダウンさせると逆に増強することがわかった。また,TRB3はPGC-1αへのp300/CBPのリクルートを阻害することが示唆された。さらに,TRB3はPGC-1αの機能ばかりでなく,その発現を抑制することが明らかとなった。 したがって,TRB3は脂肪細胞の分化とともに,分化後の糖や脂質の代謝の制御にも関連することが示唆された。
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