Budget Amount *help |
¥6,200,000 (Direct Cost: ¥6,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,私たちがこれまでに同定した低分子量G蛋白質M-Ras, RhoD, RhoT,およびM-Rasの標的蛋白質として同定したDA-Raf1について,細胞分化,マウス発生過程における形態形成,ならびに筋再生過程におけるこれらの独自の高次機能を明らかにし,さらにこれらのシグナル伝達機構を解明することを目的とする.今年度は次のことがらを明らかにした. M-Rasは骨に高発現しており,10T1/2細胞やMC3T3-E1細胞の骨芽細胞分化の過程でM-Rasの発現量が増大した.またBMP-2によりC2C12筋芽細胞や10Tl/2細胞に骨芽細胞分化を引き起こした場合にも,M-Rasの発現が誘導された.さらにC2C12筋芽細胞や10T1/2細胞にM-Rasを過剰発現させると,骨芽細胞分化が誘導・促進された.一方,RNAiによりM-Rasをノックダウンすると,骨芽細胞分化が阻害された.またM-Rasを過剰発現させた細胞ではp38 MAPKやJNKの活性化がみられ,阻害剤によりこれらを阻害すると,骨芽細胞分化が阻害された.したがってBMP-2シグナルにより誘導されたM-Rasは,p38 MAPKやJNKの活性化を介して骨芽細胞分化を誘導していることが示された. RhoTは10T1/2細胞の脂肪細胞分化の過程で発現量が増大した.また10T1/2細胞やC2C12筋芽細胞にRhoTを過剰発現させると脂肪細胞分化が誘導された.一方,RNAiによりRhoTをノックダウンすると,脂肪細胞分化が完全に阻害された.したがってRhoTは脂肪細胞分化に不可欠な役割をになっていることが示された. DA-Raf1は血清除去によるNIH3T3細胞のアポトーシスの過程で発現が誘導された.この時,ERKのリン酸化は抑制されており,BadのSer112は脱リン酸化されていた.またDA-Raf1を過剰発現させたCOS-1細胞ではアポトーシスが誘導された.これらの細胞ではBadのSer112は脱リン酸化されており,caspase-3は活性化されていた.したがって内在性のDA-Raf1は,ERK経路の抑制を介して,血清飢餓によるアポトーシスの誘導にかかわっている可能性が示された.
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