Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
「加齢」は循環器疾患のリスク因子として認知されている。また循環器疾患リスクには性差の存在も知られている。そこで加齢が心機能に与える影響とその性差について基礎的知見の蓄積を目的として、マウス心筋細胞の収縮機能と細胞内Ca^<2+>動態およびそれらの液性因子、特にエンドセリン(ET-1)による制御について、若齢(6-10週齢)-老齢(100週齢以上)間および雌雄間での比較検討を計画した。その老齢化を待つ必要上、老齢マウスは入手に時間がかかるため、本年度は主に若齢マウスにおけるET-1による変力作用の細胞内機序についての検討を行った。ET-1はマウス心筋において陰性変力作用を示す事、その機序としてNa+/Ca^<2+>交換体活性化による細胞内Ca^<2+>排泄能の増大および収縮タンパクCa^<2+>感受性の低下が示唆される事を我々は示したが、今回、ジアシルグリセロール(DG)分解酵素であるDGキナーゼを心臓特異的に過剰発現させたマウスを用いた検討により、ET-1の陰性変力作用にはDGの産生によるプロテインキナーゼCの活性化を介する事が示された。性差に関して、収縮弛緩とCa^<2+>トランジェントのキネティクスおよびET-1によるそれらの修飾について有意な差は観察されなかった。また、現時点では十分な量のデータは得られていないが、雄性老齢マウスにおける検討も行い、若齢マウスと比較して、Ca^<2+>トランジェントのキネティクスに有意差が見られないにもかかわらず収縮時間の延長が見られる事、ET-1の陰性変力作用が減弱傾向にある事、それらのパラメータの細胞間でのバラツキが大きい事が観察された。さらなる老齢マウスからのデータ取得は次年度に予定されていたが、研究代表者の転出に伴い、本研究は今年度で終了する事となった。
All 2008 2007
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)
Journal of Molecular and Cellular Cardiology 44
Pages: 520-526
British Journal of Pharmacology 152
Pages: 456-463