Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
リンパ管は生理的条件下では低酸素環境にあり、光線力学的治療を介在する活性酸素の産生プロファイルは他臓器と異なると想定される。リンパ節酸素分圧の測定システムを確立し、転移リンパ節の酸素分圧を測定してレーザー照射至適条件を決定することが可能となった。燐光プローブ物質Pdポルフィリンを用いて、生体局所の酸素分圧を測定する機器を作成した。燐光減衰波形と燐光ピークの強度比から算出した酸素分圧の妥当性を評価するために、Pdポルフィリンの溶液を用いて本計測と酸素電極法による酸素分圧計測を同時に行い、両者の良好な相関(R=0.99)を得た。電極法の精度は±3mmHgであり、燐光計測による酸素分圧の計測も同程度の精度が得られると考えられた。Pdポルフィリンを投与したラット組織に励起光を照射し、細径カテーテルを接近させ、リンパ節局所の酸素分圧を測定した。さらにラットの肝臓、動脈、静脈の酸素分圧を測定し、既報のデータに匹敵する酸素分圧値が得られた。転移リンパ節に光線力学的治療を行うと癌細胞だけでなく、リンパ節に在住する免疫応答細胞も影響を受けると考えられる。転移初期に辺縁洞において癌細胞と細胞間相互反応を行うマクロファージに対する細胞傷害性をin vitroで比較検討した。マクロファージ由来細胞株J774.1とヒト由来肺腺癌A549を培養し、レザフィリン25μg/mlを添加して1時間インキュベートし、0.1、0.3、0.4W/cm^2の各レーザー出力条件で光線力学的治療を行った。A549に比しJ774.1に対する殺細胞効果のほうが高かった。さらにレザフィリンを静注し、in vivoにおける所属リンパ節への薬剤集積性についてクリオスタット標本を用いて解析した。