Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原子 晶久 弘前大学, 理工学部, 助手 (70333713)
菅原 隆 八戸工業高等専門学校, 建設環境工学科, 教授 (10042152)
徳重 英信 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80291269)
石川 雅美 東北学院大学, 工学部, 教授 (60347896)
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 助教授 (20282113)
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Research Abstract |
本企画調査では,これまでに行われた東北地方における構造物の既往の調査事例を取りまとめ,コンクリート構造物に関する調査として,コンクリート用骨材の利用や供給の実態に関する調査を実施した.調査結果の概要は以下の通りである. (1)日本全国の状況と比較して,東北地方では,良質な骨材の確保が困難な状況にあり,この傾向は,特に粗骨材の品質において顕著であることが判明した.他地方と比較した場合に低品質とみなせる骨材の物性値としては,密度ならびに吸水率が挙げられる. (2)県別にみた東北地方の骨材に関する実態は,それほど明確にすることができなかったが,青森,秋田などの北東北地方において,アルカリ骨材反応性骨材が頻出する可能性があるという傾向をうかがうことができた. (3)上記のような骨材の実態は,コンクリート構造物を建造する際の資材調達にも影響を及ぼしている可能性が高いことが判明した.すなわち,東北地方の沿岸部では,海運による資材運搬が物流コストで優位性を持つため,北陸地方,中国からも東北地方へ骨材が搬入されているという実態を把握することができた. (4)東北地方の骨材品質に関しては,アルカリ骨材反応性のみならず,耐凍結融解抵抗性についても十分に考慮されるべき事項である.このため,骨材に関する品質規格なども,JISで規定された指標だけでなく,ローカルルールを定めることが望まれた.また,多様な品質の骨材を使用した場合にも対応可能なコンクリートの製造技術や体制の確立が重要である. なお,本研究課題に関連し,(社)日本コンクリート工学協会東北支部においては,コンクリート用骨材の利用と実態に関する研究委員会を発足し,東北地方の骨材事情をより詳細に把握するための活動を行なっている.このため,今後は,本研究課題の成果をふまえ,学教会活動への貢献を目指すこととしたい.
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