Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,陸域炭酸塩の代表である鍾乳石の炭素・酸素同位体比に基づさ陸域環境変動を解読するために,日本各地に点在する鍾乳洞の滴下水と鍾乳石の同位体比分析を基に,1)鍾乳洞滴下水の炭素・酸素同位体比について,広範な水温範囲で明らかにすると共に,各地点における滴下水の同位体比の季節変化を明らかにする,2)滴下水分析を実施した鍾乳洞より鍾乳石を採取し,その炭素・酸素同位体比を分析する.あわせて鍾乳石試料の成長速度を明らかにする,ならびに3)上述の研究成果を総合して,鍾乳石の非平衡沈澱を考慮し,滴下水の水温と鍾乳石の同位体比の関係を表す「鍾乳石同位体温度計」を作成する,ことを目的としている. 平成20年度は,上記目的を達成するために,平成18・19年度の調査結果を踏まえ,日本列島に点在する鍾乳洞の中から,鹿児島県沖永良部島の水蓮洞・クリンジョフキ,ならびに山口県美東市の長登銅山跡を重点検討対象の鍾乳洞として,鍾乳石の産状の観察,四季を通じての滴下水の水温・pHなどの現地測定,ならびに滴下水試料の採取を実施した.また各鍾乳洞においては,滴下水と対応した地点から鍾乳石試料の採取を実施した.また得られた滴下水試料について,水質イオン分析と炭素・酸素同位体比分析を行った.その結果,長登銅山跡から得られた鍾乳石には,銅山開発に伴う近隣地域での植生変化が記録されていることが明らかになり,銅製錬による酸性雨が,森林植生から草原植生へと変化させた重要な要因である可能性が指摘された.これらの成果の一部は,平成20年9月の日本地質学会において公表された.現在これらの成果をまとめ,公表論文の準備中である.
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