現代における「生命の哲学」の可能性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18652003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Philosophy/Ethics
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森岡 正博 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (80192780)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | 生命倫理 / 生命の哲学 / ハンス・ヨーナス / アンリ・ベルクソン / ハンス・ヨナス / 生延長 |
Research Abstract |
本年度は、「生命の哲学」の方法論的研究を深めるために、申請者がかねてより提唱している生命学の哲学的基礎付けを行ない、また「生命の哲学」の思想的研究を開始した。まず前者であるが、論文「生命学とは何か」を学術誌に刊行し、その中で「生命の哲学」の基礎理論を考察した。「生命の哲学」の根底となる考え方は、生まれてきたことの全体的肯定であるが、それを「人生丸ごとの肯定」「誕生肯定」「欲望でもなく絶望でもなく」という3つの命題としてまとめた。そのうえで、「世界の悲惨と苦しみを目の前にしたときに、みずからの既得権を解体しつつ、それらと共にあろうとするプロセスのただ中で、「生まれてきて本当によかった」と心の底から思えること」をもって、「生命の哲学」における「自由」として規定した。まだ荒削りな理論構築の段階であるが、「生命の哲学」を実質的なものとして構成する手がかりを得ることができたと考えている。 研究の一環として、ドイツからクリスチャン・シュタイネック教授を招聴し、ドイツの新カント派の哲学と日本仏教の生命哲学について意見交換を行ない、生命の哲学についての研究会で発表していただき、研究代表者および大学院生たちとディスカッションを行なった。その成果の一部は、次の論文に反映されている。 「生命の哲学」の思想史研究を、大学院生たちとともに開始し、年度内に8回の研究会を開催した。その成果の一部を、森岡正博・居永正宏・吉本陵「生命の哲学の構築に向けて(1):基本概念、ベルクソン、ヨーナス」として大学紀要に発表した。これは、「生命の哲学」の思想史的系譜を、東西の哲学史に探るもので、まず「生命の哲学」の扱うべきテーマを包括的に考察した後、ヨーロッパの哲学者であるベルクソンとヨーナスの生命の哲学の全体像を捉えたものである。この論文は、本研究の成果として生まれたものだが、本研究終了後も、引き続き続編を刊行してゆく予定である。 以上のように、当初の研究計画をおおむね順調に遂行し得たと考えている。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)