Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
今年度は甑島方言(鹿児島県甑島)の2地点(手打集落、江石集落)において方言アクセント調査を行った。手打集落(下甑町)については、中年層(40-55歳)と若年層(中学生12-15歳)の話者を対象に、基本名詞(牛、馬、花、鼻など)と新造の人名(銀男、橋子、飴也など)等をどのようなアクセントで発音するかを調査した。その結果、中年層はA型とB型の区別が明瞭で、伝統的な複合アクセント規則(複合法則)に従って新造語を発音するが、若年層は個人差が大きく、名詞の単独アクセントも伝統的なアクセント型を保持せず、また複合法則も5割以上の調査語彙で守っていない話者が多数いることがわかった。二型アクセント体系についても同様で、若年層話者の多くはこの特徴を保持していないことを確認した。誤答分析の結果、若年層のアクセントは東京方言(標準語)のアクセントを模倣しているということがわかった。江石集落(上甑町)については、60歳以上の高年層を対象としたアクセント調査を行った。この結果、これまで行った手打地区(下甑町)や里地区(里町)の中年層と基本的に同じアクセント体系(二型アクセント体系、モーラ主体の体系)とアクセント規則(複合法則)を持つことを確認した。その一方で、助詞が付いた句表現のアクセントが他の地域とは多少異なっており、他の地域より幾分進歩的なアクセント型を示すことがわかった。今後さらに他の地域および他の年齢層の話者に調査対象を広げ、甑島方言の地域差や年代差を分析し、鹿児島方言との相違点を明らかにしていきたい。
All 2009 2008 2007 2006
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)
語彙の意味と文法 なし
Pages: 40201-40201
Handbook of Japanese Linguistics. なし
Pages: 165-191
Tones and Tunes. Volume 1: Typological Studies in Word and Sentence Prosody
Pages: 323-351
神戸言語学論叢 5
Pages: 111-123
日本語学 25巻8号
Pages: 6-17