ドメスティケーション学の可能性:Sus(イノシシ)属の家畜化の民族考古学
Project/Area Number |
18652081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
野林 厚志 National Museum of Ethnology, 文化資源研究センター, 准教授 (10290925)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | Sus属 / ブタ / イベリア半島 / 文化人類学 / 地域ブランド / 人間と動物 / 博物館 / ドメスティケーション / 民族考古学 / 社会動物論 / イノシシ / 家畜化 |
Research Abstract |
平成19年度は、研究計画にもとづき前年度に実施しなかった地域における文献渉猟、博物館資料の調査、実際のブタ放牧飼育の予備的調査を実施した。具体的には前年度に調査をしたポルトガル側に隣接したアラセナ地方を中心に調査を展開した。 同地域でのブタの放牧飼育の大きな特徴は、それらが産業化されているという点、一方で、飼育形態については伝統的な飼育様式が意識されていたという点である。前者については、地方政府が出資するかたちで、ブタの加工産品を組織的に流通させるシステムが確立されていた。これらは地域の畜産従事者の要請によって実現したものであり、地域ブランド展開の強い要因となってきたことが考えられる。また後者に関しては地域ブランドを保証する背景を土地の人たちが作り出していると言える現象であり、これらを実現するためにハムの博物館といった文化施設建設が行なわれているという点も注目できるだろう。 以上の点をふまえたうえで、本研究は、ブタの粗放的飼育はある一定の飼育スケジュールにしたがったなかに位置づけられる一つの過程であり、決して無計画に行なわれるものではないという点、そうしたことが現代社会の脈絡においては、自然というイメージにむすびついたブランド形成に強く影響するということを仮説的に提示することになった。これらは、人間と動物との関係が、生態学的な利用という点にとどまらず、文化的な脈絡においても考察されるべきものであることを意味しており、動物の社会化という新たな視点での研究に展開するための糸口を与えることになった点において、非常に有意義であったと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)