Research Abstract |
本研究では,東京・大阪・名古屋の三大都市圏における地域別マクロ・データを分析することにより,新しい都市社会空間理論の構築をめざして次の諸点を明らかにした。第一次郊外化と第二次郊外化欧米における都市圏の発展段階理論とは異なり,わが国の三大都市圏では,いずれも1970年代に反都市化段階を経験せずに,バブル経済期に第二次郊外化を経験したのち,再都市化段階にいたった。中心都市における人口動態の変化東京特別区部,大阪市,名古屋市の人口動態の時系列分析によって,1990年代後半から,ヤングアダルト層の転出が減少することにより,社会動態がプラスとなり,中心都市における人口増加がもたらされたことが確かめられた。産業構造の再編と再都市化再都市化の背後には,社会経済的な要因が作用している。グローバル情報経済化によって都市における産業構造と職業構造が再編され,ヤングアダルトの専門職層が増大したことが,都市居住志向を促進した。とくに東京では,上級ホワイトカラー層(その大半は専門技術職)とブルーカラー層の居住分化が強化される傾向にあり,再都市化は,都心区の上級ホワイトカラー比率を上昇させていた。三大都市圏の比較都市化から郊外化にいたる過程においては,三大都市圏は,ほぼ同様の過程をたどったが,グローバル情報経済の影響のもとにおける再都市化は,都市圏によって異なるメカニズムが作用していた。東京では,金融よりも,情報サービス産業の成長が,名古屋ではグローバル製造業支援機能の集積が,再都市化の要因である。大阪市の場合には,グローバル情報経済との連接様式が未確立であり,それが都市衰退と再都市化の弱さにつながっていた。外国人居住者の動向こうした連接様式の違いが,専門・技術職の多い東京,下級サービス・労務職の多い名古屋,永住者の多い大阪のように,3大都市圏における外国人の構成や居住分化にも反映していた。
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