Research Abstract |
1.計画書にある非可換ガルニエ方程式についての結果は次である。高次元の反自己双対接続でジョルダン群不変なものはガルニエ方程式に対応する。反自己双対接続の満たす解析力学としては,2種類のラグランジアンが知られている。両者共そのポテンシャルは3次式の形で書き下せる。その場合にもパンルベ方程式の場合と同様にポテンシヤルは3次式となることがわかった。更に,偶数次元のユークリッド空間に非可換構造を入れると,そのジョルダン群不変なものとして非可換ガルニエ方程式が得られる。ジョルダン群は各次元で分類されその変形が知られているが,その変形の下で,可換な場合のガルニエ方程式は,そのタイプの間の変形が得られる。非可換の場合も同様にジョルダン群の変形は非可換ガルニエ方程式の間の変形を与えることがわかった。結果は現在まとめている。 2.計画書にある無限大数,無限小数の応用として期間無限大の経済学を経済学者と共同研究した。計画期間無限大の経済学では,各期の経済学上の値,つまり利益,損失,資本,生産の総和は通常無限大数となる。最大値問題を扱う際のラグランジアンを無限大数をも含む形にして動学,解析力学の問題として考えた。この場合は,利子率をかけて総和を有限の値にする必要はない。その方法で,最も基本的なラムゼーのモデルを解いたところ,その解は数学的に意味のある順序に基づいた最大のものであり,生産率を変化させて時間無銀大での定常的値の変化を調べたところ,少しでも利子率をかけて得られた結果とは根本的に異なる結果を得た。結果は3編の論文にまとめ現在投稿中である。(備考の1,2,3) 3.経路積分については次の結果を得た。パンルベ方程式の満たす力学は,岡本によるハミルトン系がある。そのハミルトン系を形式的に量子化し,ハミルトニアンを指数関数の肩にのせ,経路積分をおこなうと,パンルベ方程式に対応するある種のシュレディンガー方程式の基本解が得られた。方法は,超準解析の離散化をおこない,経路積分をすると,指数関数の肩に3次式のポテンシャルを持つハミルトニアンをのせて和をとることになった。調和振動子に対するシュレディンガー方程式の基本解は,超準解析的に方程式を離散化して書き下せる。その場合,物理学者はよく時間を虚数にして熱方程式にすることで収束の議論を厳密にすることなく解を求めている。そこでまず,時間を複素数にしたときどこまで物理学者の言うことが成り立つか調べた。更にこの議論を新田,岡田[N-0]の汎関数の経路積分の理論を用いて,無限自由度のシュレディンガー方程式の基本解に拡張して跡をとるとリーマンゼータ関数が得られることがわかった。計画書の発展として,次の結果を得た。無限大数,無限小数の階層を用いることで,我々は汎関数の積分論,フーリエ変換論を構築したが,その結果を相対集合論の枠組みで一般化した。結果は論文の形にまとめていて,2008年国際研究集会WCNA2008に講演予定である。更に,パンルベ方程式を保っ変換群を調べたところ,方程式をそのまま優つ変換群はないことが計算できたので,各パンルベ方程式に対応する超幾何微分方程式の変換群のうち解をも保つものを調べた。その場合,微分方程式の係数で変換群の次元に差が出ることがわかった。結果は,2008年国際研究集会WCNA2008に講演予定である。 以上,研究の目的の非可換ガルニエ方程式と経路積分については,微分方程式を量子化して区間分割することで経路積分の表示を得た。非可換ガルニエ方程式については,その変形がわかった。更にこのテーマに関し次の発展があった。一つは計画期間無限の経済の問題、階層を持つ集合論を用いたフーリエ解析と、バンルベ方程式と超幾何方程式の対称性についてである。
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