Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
鉄質沈殿物と炭酸塩沈殿物を析出する炭酸土類塩泉(Ca, Na, Clを多量に含み,Fe等の元素にも富む温泉)は,始生代〜原生代の海洋環境のアナログである。本年度は奈良県川上村入之波温泉の鉄質トラバーチンと大分県竹田市長湯温泉のアラゴナイトトラバーチンを重点的な対象として研究を進めた。鉄質トラバーチン中には,直径10ミクロンの鉄水酸化物による枝状構造が発達し,鉄酸化細菌であるLeptothrixに類似したサヤ構造が伴っていた(Takashima, et. al., 2007)。また,遺伝子解析の結果も微好気中性環境に適応した鉄酸化細菌の存在を示していた。したがって,鉄の沈澱は,鉄イオンの酸化反応に依存する鉄酸化細菌の代謝が関係していると結論付けられる。アラゴナイトトラバーチンは日輪堆積物であり,組織形成にシアノバクテリアと嫌気性光合成細菌が関与していることがあきらかになった. 2つの堆積物は,組織的に先カンブリア紀の縞状鉄鉱層やストロマトライトに類似する.鉄質トラバーチンのように,縞状鉄鉱層が鉄酸化細菌によって形成するのであれば,光が届かない深海底での「その場沈澱」でも鉄鉱層は生成することになり,従来のモデルを見直す必要がある(Takashima, et. al., (in press))。また,先カンブリア紀のストロマトライトの縞状組織が日輪であるならば,その堆積速度は極めて大きく,海水は高い過飽和状態であったと推定され,この時期の大気-海洋系の高い二酸化炭素分圧が示唆される。 この他にも,イラン国のペルムー三畳系微生物岩の研究を行い.この時期の絶滅事変が大規模な洪水玄武岩の噴出の直後に起こったことを示唆した(Wang, et. al., 2007)。
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