Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Research Abstract |
(1)昨年度開発した分析システムを用いて,一般海洋で得られた小型の石灰質底生有孔虫殻の安定同位体組成を定量し,その個体分散を用いた生態情報の解析を試みた.その結果,同位体組成の個体分散から生態を推測することによって,底層水の同位体組成を反映する種を選択的に抽出して分析することが可能であることがわかった.これらは絶滅種にも適応可能であり,過去の海洋環境の復元に適切な有孔虫種を選定して古環境を復元することができる.この成果は「石灰質微生物殻の個別同位体分散」の概念とその応用をはじめて提示したものである. (2)また,この同位体分散の応用研究として,これまで研究対象としての利用が難しかった浅海域の石灰質微生物殻(底生有孔虫・コケムシ)を古環境指標として利用することが可能になり(Ishimura et a1. ,2008),今後の環境解析学への積極的な応用が期待できる. (3)昨年に引き続き,安定同位体分析に用いる国際標準物質の均質性を評価した.国際標準炭酸塩NBS-19一粒の炭素と酸素の安定同位体を,それぞれ±0.03〜0.10‰と±-0.10〜0.14‰の高精度で分析することができ,複数の国際標準炭酸塩試料を分析した結果,一部の種類は不均質性が高く微量分析に不適当であることがわかった.この成果は高解像度環境解析に対して分析精度の保証に関する指針を示したものであり,安定同位体環境解析に対して非常に有益な報告となる. (4)開発した微小領域の炭酸塩安定同位体分析は,古環境・古生物学分野への応用にとどまらず,貝類・魚類の耳石・コケムシ類などを研究対象とした地球科学・水産学・生物学分野の複数の共同研究へと発展している.現在進行中のこれらの研究によってすでに多くの新知見を得ており,今後も国内外との連係による共同研究によって,将来的に多分野にわたる研究成果の獲得が可能である.
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