Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
共有結合に与るハロゲン原子(Cl,Br,I)の原子内電子分布の異方性に由来し,原子上の電気四重極子により表現できるような,近距離で働く指向性の強い分子間相互作用は,分子集合体の化学に新しい展開をもたらす可能性がある。特に,分子内の他の置換基によって,ハロゲン結合の形成されやすさが大幅に変化する点について,十分な物理化学的考察を行うことは,超分子化学等へ応用するにあたって,重要なファクターである。 平成20年度においては,平成19年度までに行った計算を発展させ,生理活性を持ったタンパク質と,それに対する阻害剤として作用するハロゲン化芳香族分子の会合体を念頭に置いたモデル分子系を対象に,理論計算を行った。ハロゲン結合の形成が,ペプチド主鎖の構造とペプチドの振動モードに,どのような効果を及ぼすかについて,検討した。その結果,ペプチド基のアミドIモードに対するハロゲン結合形成の効果は,水素結合形成の効果と大きく異なり,疎水的環境に対応することが示唆された。 また,ハロゲン結合による人工的な超分子形成の一例として,ハロゲン化芳香族分子が3分子会合してハロゲン原子が三角形状に配置する系についても,理論計算による検討を行った。トリヨードベンゼン3量体などでは,このような三角形状構造は安定ではないが,的確な置換基導入により,三角形状構造が安定となるという結果などが得られ,大きな置換基効果が示唆された。
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