Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
前年度での研究成果を踏まえて,超音波を利用した電気化学発光計測システムの開発と超音波電気化学における基礎的研究を行った。 電気化学発光(electrochemiluminescence,ECL)は電極表面における電子移動反応によって引き起こされる発光現象である。ここでは,Ru(bpy)_3^<2+>を含む溶液にトリプロピルアミン(TPA),シュウ酸イオン(C_2O_4^<2->),アスコルビン酸(H_2A)及びデヒドロアスコルビン酸(DHA)などの種々の共反応物を用いて超音波ECLの挙動を検討した。TPAとC_2O_4^<2->の場合では,超音波の出力の増加とともにECLの増強とシグナルの再現性が著しく改善できたことが分かった。一方,H_2Aを用いた場合では超音波によるECLの消光が認められた。超音波照射はECLの後続化学反応に強く影響を及ぼすことが解析され,特にアスコルビン酸を共反応物として用いる場合,その反応中間体であるアスコルベートモノアニオンは励起状態のRu(bpy)_3^<2+>との衝突確率が増加したため,ECL消光が主反応として進行していたことを明らかにした。 電気化学反応における超音波照射の電荷移動過程に及ぼす影響ついて,現在明確の見解が得られていない。本研究は超音波を照射しながら,電気化学交流インピーダンスのCole-Coleプロットを測定したところ,低周波領域の直線部分が観測されなくなり,電荷移動抵抗に相当する半円の部分しか現れなくなった。これは超音波照射によって拡散層が極限まで薄められたため,拡散過程を考慮しない電極反応として取り扱うことができることが示された。電荷移動速度定数はCole-Coleプロット半円部分の半径から容易に求められ,その結果,Fe(CN)_6^<3->などの化学種に対して電荷移動速度に与えた影響はそれほど大きくないが,H_2Aのような可逆性の悪い化学種に対しては,電荷移動速度が著しく促進していることを明らかにした。
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