Project/Area Number |
18655087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic industrial materials
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今中 信人 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30192503)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 固体電解質 / 希土類酸化物 / 不定比酸化物 / 直流電気分解 / 単結晶 / 電子線回折 / イオン伝導性固体 |
Research Abstract |
テルビウムは+3価と+4価の酸化数をとることができることから、一般式Tb_nO_<2n-2m>で表される不定比酸化物相を生成することが知られている。このような酸化物の構造や物性を正確に調べるには、各相の単結晶を単相で得る必要があるが、通常用いられる育成法である溶融法は、原料を融解・再析出させる方法であるため、融点の近い不定比酸化物相を個々に作り分け、単結晶体で育成することは不可能である。 本研究では、Tb^<3+>イオン伝導性固体であるTb_2(MoO_4)_3固体電解質を、酸化テルビウムの融点(2580℃)を大幅に下回る800〜900℃において、酸素分圧制御下で直流電気分解を行い、これまでに育成されていない特定の不定比テルビウム酸化物を選択的に単相の単結晶で得ることを目指した。 電気分解後の試料表面を粉末X線回折で分析した結果、陽極側表面は原料であるTb_2(MoO_4)_3のピークのみが確認されたのに対し、陰極側表面においてはTb_2(MoO_4)_3のピークに加え、あらたに酸化テルビウムに帰属されるピークが確認された。酸素分圧0.1MPaで電気分解した試料の陰極側表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、多面体結晶の析出が確認でき、電子線回折測定により、これがδ相と呼ばれるTb_<11>O_<20>(TbO_<1.818>)の単結晶であることが明らかになった。 さらに、酸素分圧を2×10^<-2>MPa、及び1×10^<-5>MPaとして育成した結晶は、それぞれβ相Tb_<24>O_<44>(TbO_<1,833)とπ相Tb_<16>O_<30>(TbO_<1.875>)に帰属された。以上の結果から、育成される不定比酸化物中の酸素欠陥量は、電気分解時の酸素分圧に依存すること、即ち、育成時の酸素分圧を変えることで、酸化テルビウム単結晶内の酸化物イオン量を自在に制御することが可能であることが明らかとなった。本研究によって、従来の溶融法では不可能であった、任意の不定比酸化テルビウムの単結晶育成を初めて実現できた。
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