Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
本研究の目的は、グラフ上制約問題等の緩和問題を数値解析の文脈でとらえ偏差分方程式の求解アルゴリズムを提案する方法論の研究であった。そして、計画最終年度であることから、大別して三つの目的に基づく研究を総合的に進めた。第一の目的は、この方法論の性質の詳細な調査、可能性の模索、既存理論との関連、計算高速化等試みの一般化などである。特にグラフ上作用素の理論展開は重要である。二つ目は、適用対象の離散問題の発見と対象範囲の一般化である。三つ目は、具体的な求解アルゴリズムの性能評価、解の事前/事後評価などである。そして、今年度の結果としては特に第一の目的に含まれるグラフ上の作用素の理論展開、即ちもっとも重要な目的とみていた部分で大きな進展をみることができ、これが主要な成果となった。これは前年度の成果である"通常空間におけるVoronoi-Delauney双対分割に基づいての非構造格子上の差分作用素の構成"に対する数学的な基礎づけの理論的検討から得たものである。具体的には、Voronoi-Delauney双対分割の平滑性補題から導出される自然無発散性定理が、二重連結グラフにおける擬ゼロ次性と実質的に等価であることが判明した。これは大きな成果である。これにより、平坦な空間をグラフでシミュレートするためには擬ゼロ次性が必要であることが明確になっただけでなく、擬ゼロ次性をダイバージェンスに応じて歪めれば曲がった空間をグラフで表現できることにもなり、これまでにない研究の展開が期待される。また、この発見によりグラフ上にもう一段抽象的な“平滑性補題"が存在することが示唆されるため、この方向でもさらなる研究が期待される。以上の結果から、本年度の成果はさらなる発展性をもつ大きなものであり、当初の計画以上に、より多くの結果が得られたものと考える。
All 2009 2008 2007
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)
Japan J. Indust. Appl. Math. 26
Pages: 15-40