Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
本研究では、蛍光蛋白・Kikume Green-Red(KikGR)の「ある特定波長の光の照射を受けると切断される」という性質を利用し、光照射によって細胞単位でCre-loxPシステムによるDNA組換えを誘導するシステムの構築を目指した。簡単には、KikGRとDNA組換え酵素Creの融合蛋白を細胞膜に固定しておき、それに光を照射することによって、KikGR部位が切断されてCre部位が遊離し、Cre内在性の核移行シグナルによって核へ移動し、ゲノムDNA中のCre認識配列・loxPペアに挟まれた領域を組換える、という機構である。本年度は、昨年度中に準備した(1)哺乳類用にコドン最適化したKikGRの発現コンストラクト(paCre)、及び(2)DNA組換え検出用細胞株(293T/lacZ及び293T/Venus)を用いて、実際に光照射によりDNA組換えを誘導することができるかどうかを検討した。まず、上記DNA組換え検出用細胞株にpaCreをトランスフェクトし、このプラスミドが導入された細胞でのKikGRの発現を緑色蛍光で確認した。次に、蛍光顕微鏡下で適当なフィルターを用いて、得られたダブル・トランスフェクタントにphotoconversion用光を照射し、KikGR蛍光の緑→赤変換を確認した。しかしながら、その後種々のパラメーターを変えて条件検討を繰り返したものの、lacZ、Venusいずれのレポーター遺伝子の発現も残念ながら観察することができなかった。また、更に感度の高いPCR法でもDNA組換えは検出できなかった。よって、このシステムの確立には更なる改良が必要であると思われる。