Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
利用できる餌が少ない時、あるいは同種の生息密度が高い時、共食いが起こる生物が知られている。エゾサンショウオ(Hynomius retardatus)は幼生の発生期に餌が少なく、同種の密度が高いと可塑的に、共食いに適した広顎の共食い型個体が生じることが知られている。非共食い個体は、共食い型が生じない環境で見られる基本形態と同じで、共食い型になれなかった敗者として、捕食されないように隠れたり逃げたりの行動防御で、共食い型の攻撃に対処していると考えられてきた。すべての個体が共食い型にならずに多型が維持される仕組みについて、幾つかのプロセスを踏まえた理論的な説明が存在する。共食い多型を自然選択における適応として説明するならば、共食い型個体は、共食いで得られる利益を踏まえても、経験する他の幾つかの多様な環境にわたって見ると、非共食い型の個体と適応度が等しくなる。この説明はトレードオフの考えかたを述べている。しかし、共食い「多型」は高密度下でしか生じず、非共食い型個体は、同種による被食危機による不利を埋め合わせるだけの適応的有利性を他の環境の文脈で得られるとは考えにくい。多型が進化的に維持されるには、被共食い個体は防御面で、基本型よりも優れている必要がある。今年度の実験研究では、この推論から予測される通り、共食い型と同居する非共食い個体は、基本型とは異なる防御機能を有した形態を発現していることが明らかとなった。
All 2009 2008 2007 2006 Other
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)
OIKOS 117
Pages: 1732-1740
PLoS One 10
Pages: 1-6
Journal of Theoretical Biology
Pages: 552-559
Ecology 87
Pages: 1599-1604
http://aleph.fish.hokudai.ac.jp