Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
研究最終年である2008年度は,計画通り1.生態人類学データの分析及びフィールドにおけるフォローアップ調査,また2.森林伐採・焼畑耕作に関するリモートセンシング分析,を行った. まず,現地調査に入る前に行ったリモートセンシング分析の結果から,近年,特に内陸部の定住者不在のエリアにおいて違法な森林伐採及び焼畑耕作が急速に進行していることが明らかとなった.現地調査では,住民がこれまでに耕作した全焼畑について聞き取りを行い,その後,実際に耕作中或いは耕作後の畑の現状確認を耕作主と共に行った.さらに,耕作作物種などに関する情報も収集した.調査の結果,明らかとなったのは以下の通りである. 研究対象地域の内陸部は,どの集落からも離れており定住者がほとんどいないため,事実上の所有者・利用権利者不在の土地と認識されていた.そのため“早い者勝ち"のフリーアクセス状態となり,最初に森林を伐採した者がその後の利用権を保持する状態となっていた.また,親族間の伝手を頼ることで,利用権が設定された土地の内部に別の人間が耕作を行い,伐採は虫食い状に進行していた.つまり,事実上のフリーアクセスであることが,このエリアにおける急激な森林伐採を引き起こした原因となっていた. 本来,伝統的な焼畑耕作は循環的な利用を前提とした持続的なものであるが,本研究の対象地では必ずしも持続的利用を前提としている訳ではなかった.破壊した森林が元の状態に回復する可能性は低く,かつ長い時間がかかると考えられたが,対象者にとっては眼前の飢饉を乗り切ること,またそのための備えをすることで精一杯であり,長期的な視野に立つことができないのが現状であった.焼畑耕作は飢饉に対しての極めて重要な生存戦略の一つであると考えられた.
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