Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
|
Research Abstract |
PPARαは肝臓での生体内脂質分子の異化代謝調節での主要な役割のみが強調されているが,こうした働き以外に小腸と肝臓における食餌由来の成分の代謝に果たす役割は良く解析されていない。PPARαが,食餌負荷よるある種の薬物代謝酵素群の小腸と肝臓での誘導に必須の役割を果たしている,という我々が見出した現象を薬物輸送系でも確認するとともに,脂肪酸アルデヒド脱水素酵素のPPARαによる誘導とその生理的意義を詳細に解析した。 核内受容体PPARαの肝臓以外での働きとして小腸に注目し,2種類の特異的アゴニストとPPARαノックアウトマウスを用いて,PPARαによって発現調節される遺伝子のアレイを用いた網羅的解析を行った。その結果,いくつものnutrient/drugトランスポーター遺伝子の発現がPPARαによって正または負に調節されていることを見出した。この讃節は,体内代謝と食物摂取をつなぐ統合的な調節系として重要であり,薬物代謝の初発段階が転写レベルで食餌由来成分をリガンドして活性化される受容体によって幅広く調節されるという,初めての知見である。 一方,核内受容体PPARαの発現欠損によって,ゴマ食マウスに引き起こされる代謝異常の-つの原因として,脂肪酸アルデヒド脱水素酵素の誘導の有無を見出した。この酵素は主として小胞体に存在しているが,ペルオキシソームに局在するサブタイプもalternative spIicingによって生じており,これが酸化ストレス耐性に重要な役割を演じていることを,細胞分画とサブタイプを特異的に発現する細胞を樹立して示した。この脱水素酵素は,植物由来の異型脂肪酸の酸化にも必須の働きをしていることから,PPARαは輸送系の場合と同様,体内代謝と食物摂取をつなぐ統合的な調節因子として重要な働きをしているものと考えている。
|