角化細胞による重層構造の形成を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
18659107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (20194855)
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 角化細胞 / 重層扁平上皮 / 3次元培養 / JunB / c-Tun / 抗酸化分子 |
Research Abstract |
角化細胞が重層扁平上皮組織を形成する過程で、TGF-βの標的遺伝子であるJunBが、どのような作用を果たすかを検討することを目的として、JunBならびに他のAP1系転写因子に優勢抑制活性を示すJunBΔN変異体を恒常的に発現している角化細胞株HaCaT-JunBΔNを作製し、3次元培養を用いたin vitroの重層扁平上皮構造の形成反応を解析した。その結果、JunBΔNは、通常の2次元培養の場合も3次元培養の場合もヒト角化細胞株HaCaTの増殖には影響を与えないが、3次元培養時の重層構造の形成は強力に抑制することが示された。一方、c-JunΔNを発現させると2次元培養では増殖に影響がなかったが、3次元培養で多層化の進行とともに増殖活性が低下した。しかし、多層化能は保たれており、JunBΔNのような重層構造の形成不全は認められなかった。また、細胞表面の空気への暴露という操作を含む3次元培養によってaldoketoreductase family 1 B10,selenoprotein P,SODなどの抗酸化物質の発現が誘導されたが、JunBΔNを発現させた細胞ではこれらの遺伝子の発現誘導がおこらないことが示された(Ikebe et al,2007)。3次元培養の際に、細胞の表面を空気に暴露すると抗酸化物質が誘導されるということは理屈に合う現象であるが、その生理学的意義や上記の遺伝子の発現が多層化に充分であるかについては明らかになっていない。マウスの皮膚は毛に被われ薄いため、重層構造形成に関する分子レベルの研究はいまだ充分に進んでいないが、マウスの開眼(空気への暴露)とともに角膜上皮の重層化がおこるという発生学的観察もなされており、空気への暴露による角化細胞の重層扁平上皮形成は、再生医療への応用も広がる注目すべき組織形成反応であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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