Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
【研究意義】近年,心筋梗塞や脳梗塞,静脈血栓症などの血管障害性疾患が急増しており,その原因,発症機序の解明と有効な診断法、治療法の開発が望まれている。血管障害性疾患の発症基盤には慢性的な炎症性内皮障害があるため,疾患の発症阻止には生活習慣病の改善とともに,血管内皮を如何にして炎症性障害から保護し,また,一旦生じた炎症性内皮障害を如何に再生させるかが重要な鍵となる。 【研究目的】本研究では,これまでに独自のファージディスプレイ法を用いて作製したペプチドライブラリーから炎症により惹起される血管内皮障害を阻止して,内皮細胞の保護と再生を制御するペプチドおよびペプチドが結合する細胞側分子を同定し,その機能や分子機構を明らかにする計画である。これまでの研究成果に基づき,最終報告を提出する。 【研究成果】前年度までにヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)に結合するペプチドのスクリーニング行い,ギャップ結合タンパクであるコネキシン32(Cx32)に結合するペプチドを同定した。本年度は,活性化NFκB結合部位を転写調節領域に持つルシフェラーゼ遺伝子発現ベクターを導入したHUVECsを用いて,このペプチドの抗炎症作用を評価した。その結果,このペプチドはNFκBの活性に変化を起こさなかった。他方,これまでCx32が内皮細胞に発現していることは報告されていないため,本研究ではCx32が内皮細胞に発現することを検証した。また,Cx32の発現量がTNF-α刺激時に低下することを明らかにした。さらに,Cx機能阻害剤や抗Cx抗体を用いてギャップ結合を阻害すると,TNF-α刺激で誘導される炎症反応や凝固反応がより一層亢進することを明らかにした。以上の結果から,Cx32を介する血管内皮細胞間のギャップ結合の機能維持は,血管内皮を炎症性障害から保護する役割を果たすことが明らかになった。
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