細胞層選択的発現蛋白の機能解析によるヒト胎児副腎層形成機構の解明
Project/Area Number |
18659313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Embryonic/Neonatal medicine
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 人士 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10212937)
峰岸 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30276331)
樋口 隆幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30365332)
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 胎児 / 副腎 / プロテオグリカン |
Research Abstract |
ヒト胎児副腎皮質細胞は主に外層(definitive zone ; DZ)で増殖し、内層へ遊走、そこで分化を遂げる。我々はDZ細胞に選択的に増殖促進作用を示す成長因子midkineの複数の受容体候補蛋白の発現を検討し、細胞膜関連プロテオグリカンの一種であるsyndecan-3(SDC3)がDZに特異的に局在していることを明らかとした。したがってSDC3はヒト胎児副腎においてin vivoで認められるDZ主体の細胞増殖機構の一端を担っている可能性が高いものと考えられた。また我々は、DZで活発な血管内皮細胞の増殖がおきていること、主要な血管増生因子であるangiopoietin-2(Ang2)がDZを含む外層の副腎皮質細胞に強く発現していること、そしてAng2が副腎の発育・機能調節因子であるACTHの支配下にあることを明らかとし、血管増生がDZを中心におきていることの証拠を得た。以上の結果からDZは活発な細胞増殖に加えて、巧妙に調節された血管増生も認められる非常にダイナミックなリモデリングが行われている層であることが判明した。 また本研究においてFZ特異的マーカーについても知見が得られ、細胞外マトリックス蛋白の一つであるSPARCがFZ細胞に特異的に局在し、ACTHの調節を受けていることがわかった。SPARCはある種の細胞では最終分化段階で出現することが知られており、また細胞遊走を阻害する可能性もある。今後副腎皮質細胞の層形成機構や分化・遊走の制御機構を研究する上で貴重なツールと考えられる。 胎児副腎は高等動物においては胎児視床下部副腎一胎盤系の重要な部分を担っているにも関わらず、その細胞増殖、分化、発育、機能発現のすべてにおいて未解明な点が多い。本萌芽研究で得られた、機能的・解剖学的層形成に関与すると考えられる蛋白の知見を、本研究分野の今後の礎としていきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)