Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70226702)
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30301401)
鵜飼 渉 (鵜飼 捗) 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40381256)
池田 官司 (池田 宏司) 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (30232193)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,胎生期におけるアルコールの暴露による,成長後の衝動コントロール障害・適応障害等の認知行動異常との関連を明らかにすることである。具体的には,幼児の発達段階の神経細胞および神経幹細胞が薬物やストレスによる障害を記憶し,成長期における様々な応答異常に繋がる可能性についてin vitro,in vivoで解析した。 今回の検討で,アルコールによる神経幹細胞の分化機能変化のメカニズムに,NRSFとCREBの両転写因子の変化が深く関わる可能性を明らかとした。この転写因子群の変化は,BDNFを初め様々な遺伝子について,DNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現のオン・オフを持続的に調節できる機構であり,いわば「細胞記憶」として保存される生体メカニズムの一端となる変化とも考えることができる。 FASに代表される胎児期のアルコール暴露が脳に及ぼす影響は,出生してアルコール暴露が断たれても基本的に非可逆的であり,また様々な精神疾患への罹患が高いことも知られている。我々は既に,胎生期にアルコール暴露を受けたFASモデルラットから得た神経幹細胞は,通常の神経幹細胞よりもアルコールによる障害を受けやすいことを見出し,このことについても,上述した転写因子系の変化を中心とする「細胞記憶」の概念で説明できる可能性を示した。FASモデルラットを用いた検討では,標識神経幹細胞を経静脈的に移植する方法で,移植細胞の脳内動態変化と個体の行動学的変化の解析を実施し,蛍光マーカーおよびラジオアイソトープ標識した神経幹細胞をモデルラットに移植し,移植した神経幹細胞がダメージを受けた脳領域へより積極的に集まること,モデルラットの不安・認知機能,および行動量の異常が,神経幹細胞移植によって正常動物に近いレベルまで改善することを示した。加えて,移植した細胞が脳内で,GABA系や5-HT系の神経細胞に分化・発達していることを明らかとした。
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