Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
今日の歯内療法においても根尖孔の骨性瘢痕治癒を積極的に図る方法は未だに確立されていない。一方で,歯科領域において間葉系細胞移植による硬組織再生医療が可能となりつつあり,また,マウスの歯の再生技術も報告され,歯の各構造における発生機構に基づいた歯科再生医療技術の開発なされている。本研究では歯の発生機構の解析による歯髄,歯周組織の再生療法を利用した根尖孔の骨性瘢痕治癒の基礎的検討を試みた。 19年度の研究の結果,in vivoにおいてマウス間葉系細胞由来の歯乳頭細胞中には,象牙質特異的遺伝子Dentin sialoprotein(DSP)発現を有する象牙芽細胞前駆体が存在し,さらに,basic fibroblast growth factor(bFGF)を添加することによりDSPの発現が増強したことから,bFGFは象牙芽細胞分化誘導因子であることを報告した。また,歯根膜前駆体細胞が存在する歯小嚢細胞から,腱/靭帯形成関連遺伝子が高発現し,歯根膜様構造物を形成する単細胞クローンの採取に成功した。さらに,腱/靭帯マーカー遺伝子であるScleraxis(Scx)が成熟した歯根膜のみに発現することを確認し,過剰発現させた同細胞とフィブリン塊を免疫不全マウスに皮下移植すると石灰化物形成能力が抑制され,規則正しい細胞配列を示す歯根膜様構造物の形成が観察されたことから,Scxは石灰化抑制を介して歯根膜内の区画維持に働く可能性が示唆された。 以上の研究成果から,根尖部に象牙芽細胞前駆体細胞,セメント芽細胞および歯根膜前駆体細胞を誘導することができる可能性が強く示唆され,根尖の骨性瘢痕治癒を積極的に促す治療法開発の端緒となすことができた。
|